きっと最初は誰もがペーパードライバー。#コガとうんてん の始まりの話 【MEET THE CARS】

3日で脱ペーパードライバー

ペーパードライバーって言葉の定義はそんなに明確なものではありませんが、運転免許を取って、次に自らの意思で運転するようになるまでのブランクが一定の期間あると、ペーパードライバーということになります。なんだか不思議な言葉ですが、簡単に言うと、「運転に自信がなくて、運転しようと思えない人たち」ということですね。

でも心配しないで欲しいんです。自動車メーカーの1年目だって、入社直後は3割はがペーパードライバーだと言っても過言ではないくらいです。マイカーを持って日常的に運転しているかというと、半数を切ると思います。こう書いてしまうと「クルマを志す者が、けしからん!」と怒る大人の人も多いのですが、ぼくも物性物理屋の端くれなので、家電メーカーに就職していれば電子レンジの設計をしていたと思うんですが、ぶっちゃけ電子レンジ買ったの最近だし、オーブン機能も予約調理も使ったことないし、シャープに入社したからってヘルシオ買うかっていうとおそらく買わない。物理屋に求められる仕事をこなすことが、指名だと思う氏仕事だと思うし、未だに、それでいいと思っている。だから、入社時にペーパードライバイーである同僚や後輩を責める気にはなれず、そうはいっても、

ぼくはクルマはすこぶる楽しいと思っているので、せっかくなら知って欲しいし、知ってもらえればそれぞれの分野で活躍するヒントになるはず!!

とおもって、始めたのでした。

日本では、都会のごく一部ではクルマがなくても生活が成り立ってしまうので、ペーパードライバーになってしまいやすい人が増える環境にあるのは事実だと思います。5年くらい前までは今ほどカーシェアリングも発達していなかったので、余計に、免許を取り立ての人たちもクルマにあまり触れることなく社会人になって、忙しいまま時間が過ぎていって、典型的なペーパードライバーとなっていったのだと思います。現代の若い人は少し違うかもしれませんね。免許とって2-3年もすれば、カーシェアもレンタカーも借りれますもんね。

ぼくはどうだったかというと、免許を取る前にクルマを買いました。どうかしてますね。免許証が交付された日、その足でクルマ屋さんに走って行って、赤い小さなオープンカーを手にしました。初めてエンジンをかけた時の感触は今でも覚えています。と、いうくらい、ペーパードライバーな皆さんとはかけ離れたクルマへの憧れがありました。その延長線上で、今こういった仕事をしているわけですが、私の仕事のモチベーションの根幹にあることは、

私がクルマに抱いている憧れや便利さやロマンティックさやエキサイティングさを、多くの人は知らない(だけなの)のかもしれない

ということす。しかもこのことを、自動車メーカに就職して、改めて痛烈に知ったのでした。(冒頭の、同僚のペーパードライバーの数に。)

2011年10月、ぼくは第二新卒という形である自動車メーカーに就職しました。入社の経緯は割愛しますが、これがラッキーでした。2011年の春に先に入社していたメンバーとは、誰がどこに転職しようと一緒にビジネスマンとして強くなっていこうなっていう、絆みたいなものを感じるまでの濃密な時間を過ごすことが出来て、彼らと出会ったからこそ、いまの、

MEET THE CARS  #コガとうんてん

ができあがっていると言っても過言ではない。
そしてその翌年、2012年4月から、2021年入社組にのメンバーと合研修と工場応援とをすることになりました。このおかげで、私はラッキーなことに2世代にわたって「同期」が出来たのでした。

寄り道が長くなりましたが、今日は、 ペーパードライバーむけ支援サービス #コガとうんてん これがなぜ始まったのか? どこへ向かっていくのか? っていう話の、入り口みたいなところを話そうと思います

入社してペーパードライバーの数に驚いた一方で、「やっぱりな!」と思うような、ぼくよりクルマが大好きも連中が寮にいっぱいいることにもすぐ気が付きました。研修中も発言とか答案とかを見て、何人かツーカーで話がわかりそうなやつを狙い撃ちで、「峠いこう!この辺にいい峠あったら教えてくれ!」って片っ端から口説いて行ったんですね。懐かしいですね。誰もわからないと思いますけどMECでのPTの集合研修ですね笑 自動車の開発というのは、めちゃめちゃ大きく分けてパワートレイン(エンジンからタイヤの付け根まで)と、車両(ボデー、シート、ハンドル、サスペンション、タイや)と大きく2つの分野に分かれています。なので、車両のメンバーとの出会いは少し後になります。

とはいえ、そんなに時間もかかることなく、「とくに話さなくても経験を持ち寄れるメンツ」というのが結成され、「ぶっちゃけ何したい??」って議論になったんです。で、一番盛り上がったのが、

「互いのクルマを持ち寄って、貸してもいいし助手席でもいいし味見大会がしたい」

これが、 MEET THE CARS の始まり。ぼくらはいろんなクルマに出会いたかった。ただただ純粋に、勉強がしたかったのです。
じゃあ、夜の峠ばかり走っててもご時世的にもアレな感じになりつつあったので、瀬戸内にある保養施設の広駐車場を借りて、広場でやろうって思いついたんです。そこで閃いた。

「ペーパードライバー、連れて行けばいいんじゃない??」
「MT乗りたい人も触らせてあげればいいんじゃない??」

これが、#コガとうんてん のはじまり。

2011年発足、2012年初開催、MEET THE CARS ほんの遊びから始まったこれは、その後長い歴史を歩むことになります。

クルマを持ってくる人も来ない人もみんなでお金を持ち寄って場所や必要な機材を借りて、みんなで遊ぶ、そういう空間でした。「クルマの楽しさをもっと知りたい/わかって欲しい」っていう、楽しみを満喫する、年に一度のお祭りとして、裏・新入社員研修として長く続きました。いろんな人にいろんな趣味があるから、スポーツカーばかりじゃない。クロカンの良さ、旧車の良さ、キャンピングカーの良さ、いろんなクルマのいろんな良さがある。だから、

あなたの生活を、スキルを伸ばしてくれるようなアイテム探しの場所になったら最高だ!

と思ってやっていました。もちろん、ほかのメーカーのクルマもたくさんあったし、勉強用に当時 ¥60,000/day もするポルシェを借りたこともあったし、結構思い切った回では、

「クルマ×音楽の力は、半端ないんだ!」と主張した上で、「バンドをやる!」っていいだしたやつがいてそれ実現するためにアウトランダーPHEVを2台借りてきて電源も屋根もない場所で音楽ライブをやったこともありました。

とにかく、クルマの善し悪しの評論会でなく
・あなたはどれが好き?
・あなたはそれが動かしやすい?
・あなたにとってのクルマとの生活は、イメージできた??

という問いを本質とした会でした。ご覧の通り、何年も続けているうちに、クルマの数も人の数も、何倍にもなりました。
こういうのは数じゃないけれど、賛同してカネを払ってまで来てくれる仲間というのは、わざわざ説明しなくても、良くて、良かった。

そうすると翌年、クルマを持ってなかった人たちが翌年にはもうクルマを持ってて、「コガさん!使ってください!必要ならインストラクターで常駐しますから!!」って申し出てくる人、山のごとし。しかも、先輩がMTのスポーツカーが多かったせいか、3年目あたりにはAT車を探すのが困難になるなど、それくらい、影響力は小さくなかったなと思っています。

っていうことをずっとやってきたので、いまぼくお客さんが恐る恐るぼくにリクエストしてくれることのほとんどは、大体なんとかしてきたことなので、安心し欲しいなと思います。
輸入車だろうがスポーツカーだろうが、左ハンドルだろうがMTだろうが、トラックだろうが。
一番言いたかったことは、ぼくも含めて、自動車開発テストドライバー/自動車メーカーマンという職業は、絶えずお客さんのことを考えていると同時に、同じくらい、

(個人差はあれど)絶えず、自分が上手にならないといいものは作れない、と思っている。ということです。
先日、SUBARUのSTi 辰巳さんのサインにも書いてありました。「もっと運転うまくなりたい!」と。

「クルマはどんどん進化します。けど、今、ほんの今、運転が出来ることのうれしさを、みなさんに伝えたい。」

なにが嬉しくてどうなのかというぼくの想いは追々YouTubeでもこのブログでも紹介していきますけど、
これまできちんと話せてなかった、この取り組みと、歴史と、今後の展望の一端について、お話ししました。

暑いですので夜練習しましょう!お待ちしています!
クルマはあなたの今持っている能力を、引き上げますよ。ぜっったいに。そんな話を、そのうちします。
独立して2年、通算10周年を迎えました。

10年かかってやっとここか、という気持ちと、ここまで来たぞ、という自信とが、入り交じった蒸し暑い夏の夜です。
みんな、蚊に気をつけてね。

自動車開発テストドライバー 古賀章成
kogatounten.com

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