ぼくは地図が読めない。景色も覚えられない。
古賀です。自動車開発テストドライバーという仕事をしています。こう名乗っておいて「地図がよめない」、「道を覚えられない」は流石にウソだと思われるのだけれど、これは本当です。今でもよっぽどの近所とか事前に下見した道以外、『さっき来た道』は、絶対と言っていいレベルで覚えていない。
この話は、ぼくが社内自動車テストドライバーの取得が遅れたことの決定的な要因であり、今ぼくがペーパードライバーを最低限の操作スキルで行動を走らせられていることにつながっているのだと思っている。
じゃあ地図が読めて、道を覚えているってなんでそんなに必要だと思いますか?これは今となっては、「ナビが言ってる通りに運転できます」もほぼ等価だと考えていい。さてなんだろう。
答えは無限にあるのだろう。でも一つだけとても重要なことがある。それは、
・『予測』ができてそれに対する
・『対応策を用意』できて、
・『万が一のトラブルが割り込んできても冷静』に、
目的地までドライブを続けることができるということだろう。
もちろん、道なんて多少間違えたっていい。プロだって道を間違えることもある。信じられないかもしれないが、WRCのラリーストですら道を間違える。だけどそこで冷静にレースに復帰できるかどうかはとても大切だ。
ペーパードライバーの皆さんと接していて、道を覚えられる/知っていることに関する動き方の違いが結構顕著に出てきて面白いなと思っている。
・一番いいのは、知ってる道を『自動車という全く異なる乗り物で走ってる』という違和感を持っていること。
・目指すところは、知らない道をナビだの人に聞くだのしてなんとかすること。
・要注意なのが、知ってる道をクルマで走っててクルマのサイズ感を忘れて自転車や歩行者のように動くこと。
こんな感じかな。今日書きたかったのは、 地図や道路に関する知識や記憶力が優れていることと、クルマの運転の上達については、ある程度の相関はあるとは思うけれど決定的な要素ではないっていうこと。
乗っているうちに道は覚えるし、覚えた道もまた移り行く日々と共に変化していって3年前の記憶なんてなんの役にも立たなかったりする。
大切なのは、自分が慌てないための、周囲を危険に晒さないための、常に脳みその奥で走らせておく27パターン。目の前に三つの選択ABCがあって、それぞれの選択肢にDEFといういうまた3つの選択肢があって、その先にGHQ、と、常に3の3乗 27通り の選択肢に対する対応策を考えて過ごしている。
自動車開発テストドライバーというのは、そういう仕事なんだと思う。
古賀
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